急性扁桃炎は、喉の入口にある口蓋扁桃という部分が赤く腫れて、刺激を感じたり強い痛みが生じたりする病気です。
この病気は一見風邪とよく似ているため、発病した初期の段階では間違われることも多いのですが、風邪とは異なる病気になります。

とくに体力や免疫力が落ちている場合にかかりやすく、元々体の免疫機能が発達していない子供であれば、大人よりも発症するリスクが高くなると言えます。
しかし、扁桃炎は子供だけでなく大人も発症することがあり、ストレスが溜まっている時や睡眠不足が続いているときなどには大人でも気を付けなくてはいけません。

特徴としては、喉の痛みや頭痛などが主な症状となりますが、以下の文章でその原因やメカニズムなどを見ていくことにします。

急性扁桃炎は何故起こるの?

急性扁桃炎と言うのは、扁桃炎の中でも急性期に発病するもの、つまり急に病気の症状が出てくるものを指します。
この病気の原因となっている病原体は一種類ではなく、細菌やウィルスなど複数の病原体が原因となって発病します。
通常、風邪の症状はウィルスによって引き起こされますが、この病気の場合には病原体自体がウィルスと細菌の二種類があります。

そのため、病名としては一つであっても、病原体の種類によっては症状や治療方法などが異なってくるので、注意が必要です。
割合としては、ウィルスが原因となって発病するケースのほうが細菌が原因となって発病するケースよりも高くなっています。
しかし、ウィルスが原因となっている場合には比較的短期間に症状が治まるのに対して、細菌が原因となっている場合には合併症などを起こしやすく、治療に長期間かかってしまう場合があります。

まず、ウィルスが原因となっているケースですが、病原体となるウィルスにも複数の種類があります。
主に知られているものとしては、プール熱の原因ともなるアデノウィルスや、手足口病やヘルパンギーナの原因となるエンテロウィルスなどを挙げることができます。
また、単純疱疹の原因菌である単純ヘルペスウィルスやEBウイルスなど、ヘルペス系のウィルスが原因となる場合もあります。
コロナウィルスやライノウィルスなども、この病気の病原体となる場合があります。

このように、急性扁桃炎の病原体となるウィルスの種類は多く、それによって起きる症状も様々です。
喉の入口付近に痛みや刺激感といった違和感を感じた場合には、すぐに内科系の病院を受診したほうが良いと言えます。
とくに、お子さんが口の奥を痛がっているような場合や、外から見て首回りが腫れているなといった場合には、すぐに小児科に連れていくことが大切です。

一方の細菌が原因となって発病するケースでも、複数の種類の細菌が病原体となります。
中でも代表的なものは、肺炎球菌やインフルエンザ菌、溶連菌、黄色ブドウ球菌などです。
肺炎球菌やインフルエンザ菌が原因菌となっている場合には、感染経路は体の外からということになります。
しかし黄色ブドウ球菌や溶連菌は元々体の中に棲みついている常在菌なので、病原体が外から侵入したのではない場合にも、この病気を発病するケースがあります。

急性扁桃炎を発病しやすいのは、主に体力や免疫力などが落ちているケースです。
とくに、口のなかや喉の部分は柔らかい粘膜の組織がむき出しになっているため、組織が傷ついている場合などにはこの病気に感染しやすくなります。
また、冬の室内など乾燥した場所にいる場合にも、粘膜が乾燥してしまうため発病しやすくなるので注意しましょう。
飲酒や喫煙によって喉の組織が荒れている場合にも、発病しやすくなるので、よくこの病気にかかる人は飲酒や喫煙などにも気を付けるようにしたほうが良いでしょう。

急性扁桃炎の症状を知ろう!

急性扁桃炎は大人も子供もかかる病気で、症状の出方は基本的に大人であっても子供であっても違いはないと言えます。
しかし、免疫力・体力の弱い子供の場合、症状が重くなったり、治療期間が長くなる、合併症にかかりやすいといった傾向があるので注意が必要です。

とくに溶連菌が病原体となっているケースでは、合併症へと進むことが多いため、症状が現れたと思ったときにはできるだけ早く病因を受診して、病原体を特定してもらうほうが良いでしょう。
一方、ウィルスが原因となっている場合には、特別な治療をしなくても短期間で症状が治まってしまうこともあります。

では、急性扁桃炎にかかると具体的にどんな症状が見られるのでしょうか。
まず、合併症のあるなしに関わらず、喉の入口部分にある口蓋扁桃が赤く腫れて炎症を起こすことが、共通して見られる症状になります。
軽度であれば、いくぶん腫れぼったくなって、違和感を感じる程度ですが、症状が重くなると強い刺激感や痛みを感じるようになります。

このときの痛みは、風邪を引いたときの喉の痛みとよく似ているのですが、痛みを感じる部分が風邪とは異なります。
風邪を引いた場合、主に喉の中間くらいの位置にある咽頭という部分が腫れて痛むのですが、急性扁桃炎で痛みや腫れを起こすのは、それよりも上の位置にある口蓋扁桃です。
この組織は、ちょうど喉の入口部分、舌の付け根あたりに左右に一対が並んでいます。
この病気にかかった場合には、そのどちらか、あるいは両方が腫れて痛むことが特徴となります。

口の内部を見ると、口蓋扁桃は喉の左右両側に付いており、この部分が炎症を起こすと首回りの部分まで腫れを起こします。
これは外から見ても分かるので、お子さんが喉の痛みや違和感などを訴えている場合には、首回りが腫れていないかどうか確認するようにしましょう。
もし、首の中ほどではなくて頭に近い部分が大きく腫れているようであれば、急性扁桃炎の可能性があります。

この病気にかかる際には、免疫力や体力が落ちている場合が多いため、扁桃以外の部分にも症状が及ぶ場合があります。
喉の痛み以外の主な症状としては、頭痛や倦怠感、発熱といった症状が出ます。
発熱時には38度以上になることが多く、場合によっては40度近い発熱となることもあるので注意が必要です。
とくに体力の弱いお子さんがこの病気にかかった際には、発熱にも気を付けたほうが良いと言えます。

また、口蓋扁桃は元々体の免疫系を調節する期間であるため、この部分が炎症を起こすことでさらに免疫力の低下を招くことがあります。
その場合、耳や側頭部にまで腫れや痛みが生じることがあります。
溶連菌が原因菌となるケースでは、さらに関節痛や皮膚炎といったリウマチ熱の合併症を引き起こすことがあることが知られています。
体のむくみや尿量の減少、アレルギー性紫斑といった合併症が生じることもあります。

年齢ごとの急性扁桃炎の発症率!

急性扁桃炎は子供も大人もかかりやすい病気で、発症率も比較的高いのですが、風邪と間違われる場合も多いため、全国的な統計データのようなものは残念ながら存在していません。
しかし、インターネット上には個人病院でこの病気の発症率について報告しているケースがあり、だいたいどのくらいの年齢層の人がかかりやすいのか、性別による違いはあるのかといったことを調べることが出来ます。

その報告によると、急性扁桃炎を発症するケースは0歳児から見られ、比較的免疫力・体力のある大人でも発病しているケースもあります。
ですが、40歳代・50歳代を過ぎたころから発病率は低くなり、60歳代・70歳代以降のお年寄りではほとんど発症しなくなります。
年齢層としては、20歳代から30歳代で受診した患者さんが急性扁桃炎にかかっていると診断されている例が多いです。

一般的に、子供はどんな病気にかかってもまず小児科を受診するケースが多いことや、風邪と間違えて放置されてしまう可能性も高いため、発症率がこのデータの通りだとは言えませんが、データを見る限りでは大人も発症しやすいと言うことが分かります。
また、男性と女性の発症率にはそれほど大きな違いはなく、男性も女性もほぼ同数の患者さんが発生しています。
急性扁桃炎の発病率に男女差はないと考えて良いでしょう。

気になるのは、子供はどのくらいの確率でこの病気にかかることがあるのかですが、こちらも残念ながら発症率を集計しているデータは公表されていないようです。
しかし、ある小児科系の病院のウェブサイトに書かれている情報を参考にすると、子供が急性扁桃炎にかかっていると診断される割合は、受診者数の中でもかなりの数になるということが報告されています。
発熱や喉の痛みといった症状は風邪の症状と間違われやすいので、風邪だと思って病院を受診したケースの多くはこの急性扁桃炎が原因だった可能性が高いと考えることが出来ます。

急性扁桃炎は、プール熱や手足口病、ヘルパンギーナなどを引き起こすアデノウィルスやエンテロウィルスによっても引き起こされるので、0歳から10歳くらいの子供のほとんどは、一度くらいはこの病気にかかることがあると考えておいたほうが良いと言えます。

なお、プール熱として知られる咽頭結膜熱の罹患率は、国立感染症研究所の2014年の調査では、およそ6割が5歳以下の子供において発生していることが報告されています。
また、手足口病に関する調査でも、4歳児くらいまでの年齢層での感染が多く、2歳児以下の子供の発病率が半数を超えているとされています。
急性扁桃炎もこうしたウィルスが原因となって発病することを考えると、小学校入学前の5~6歳くらいまでの子供はとくにこの病気への感染に気を付けたほうが良いでしょう。
ただの風邪と決めつけず、診察を受けることが大切です。

再発してしまう反復性扁桃炎!

急性扁桃炎の症状や原因、年齢別の発症率などを見てきました。
しかし、この病気には急性期的なものだけではなく、反復性扁桃炎と呼ばれる慢性の病気も存在します。
反復性扁桃炎は習慣性扁桃炎とも呼ばれています。
急性症状の場合、発病してから完治するまでの期間はだいたい一週間から十日程度になります。
しかし、反復性の場合は治療期間が長くなるのではなく、一端症状が治まって病気が良くなったとしても、時間が経つとまた症状が再発するというものになっています。

このような症状が起きる原因としては、口蓋扁桃が免疫系を司る器官であるため、体全体の免疫力や病気に対する抵抗力が低下してしまうことが理由の一つに挙げられます。
反復性扁桃炎というと、一般的に年4回程度再発するものを指し、年代としては主に0歳から10歳くらいの子供に多く見られます。
最も発病しやすいのは、急性期的な症状の場合と同じく小学校入学前の児童です。
ですが、この病気は大人でもしばしば見られるものなので注意するようにして下さい。

病気の症状は、急性扁桃炎の場合とほとんど変わりありません。
しかし、免疫力の低下によって細菌やウィルスに対する抵抗性が落ちてしまうため、喉が痛んだり腫れたりするだけでなく、その他の部分まで症状が出やすいという特徴があります。
とくに症状が出やすい部分は、鼻や耳などです。

また、扁桃自体に細菌が溜まったままになっていると、ここを感染源として全身性の病気に移ってしまうケースがあります。
こうした症状は、溶連菌が原因菌となっている場合に多いのですが、黄色ぶどう球菌や肺炎球菌、さらにはウィルスが病原体となっている場合にも、このような全身性の病気につながることがあります。

扁桃自体に細菌やウィルスが蓄積されている場合には、慢性扁桃炎という呼び方もされます。
この時、血液検査をすると白血球の値が高いという異常が見られるので、病気が再発するリスクについても調べることが可能です。
溶連菌が原因菌となっている場合には、溶連菌の抗体価を測定することで、炎症がどの程度の範囲に広がっているかを調べられます。

反復性扁桃炎の主な症状としては、喉の痛みや発熱、倦怠感などで、これは急性期の症状と同じものだと言えます。
また、食べ物の飲み込むときに喉に痛みや刺激感、異物感などを感じることもあります。
その他の症状としては、耳に放散痛が起きるケースがあります。

溶連菌が原因となっている場合、関節リウマチやIgA腎症の症状にも注意が必要です。
全身性の症状が継続して起きているときには、反復性扁桃炎とは区別して扁桃病巣感染症と呼ばれることもあります。
関節リウマチが発症すると全身の関節に痛みが生じる他、心臓や筋肉などにも異常が起きることがあります。
また、IgA腎症にかかると尿量の減少や体のむくみといった症状が起きます。